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まずは「相手に関心を寄せているか?」を考える。1on1ミーティングでマネージャーが直面する悩みと解消の糸口

・ 國井 麻美子

※このインタビューはオンラインにて実施しています

ゼロトゥワン 代表取締役社長
ピースマインド 創業者・元代表取締役社長 
荻原 国啓

1on1の必要性は理解しつつも、いざ現場のメンバーと対話するとなったとき、メンバーとの関わり方に悩んだマネージャーの方も多いのではないでしょうか。

これまで1000社以上の組織支援に携わってきたプロフェッショナル・荻原 国啓様に、マネージャーとしての心がけや1on1で困ったときの考え方について、お話を伺いました。

相手に関心を寄せていれば、どんな問いかけをすべきかが見えてくる

━━この2年ほどで、1on1を導入する企業が増えてきたように感じます。企業で1on1が広がった背景にはどのような要因があるのでしょうか?

以前は、マネージャーの仕事は特定のKPIを追いかけて、管理統制を行うことが中心でした。ですが、事業構造やバリューチェーンが複雑化していく中で、メンバーの一人一人の可能性を引き出すことが重要になってきている。そのためのコミュニケーションの機会として、1on1の必要性が増しているのだと思います。

━━では、実際に1on1という場を生かすために、マネージャーはどのようなことを目標にすべきでしょうか。

いろいろな壁にぶつかるとは思うのですが、その多くはマネージャー側の前提がずれているケースが多いんですよね。まず、1on1は目標管理やモニタリングのための時間とは切り分けるべきだと思います。管理を目的にしてマネージャー側が持っている正解をメンバーに伝えようとしてしまうと、どうしてもコミュニケーションのズレが発生してしまいます。

たとえば、メンバー側は話を聞いてほしかったのに、マネージャー側は「自分の話が伝わったかどうか」という点にばかり意識が向いている状況。メンバーからすると、話を聞いてもらえなかった、上手く話せなかったという体感が残ってしまう。これって、お互いの期待がずれていますよね。

1on1を実施するなら、初期段階で「この場をどのように使いたいか」という期待感のすり合わせを行うことが重要です。問題解決に使いたいのか、問題自体を一緒に整理したいのか、とにかく話を聞いてほしいのか。それも明確でないなら、マネージャー側からいくつか提案しながら問いかけてみることで、お互いにとって有意義な場になるのではないでしょうか。

━━1on1の中では、傾聴力、質問力、コーチングなど様々なスキルが必要になるかと思いますが、それらの要素を使い分けるポイントはありますか?

確かに様々なスキルがありますが、まずは前提として、相手に関心を寄せているか?ということが重要だと思います。上司が自分の話をずっとしてしまうときは、「自分にばかり」関心をもっているんですよ。

1on1の中でも、メンバーから業務について具体的なアドバイスを求められる場面があるかと思いますが、必ずしもHowを教え続けることがその人のためになるとは限りません。相手によく関心を向けてみると、「教えてください」という訴えの中には、Howの前にどうしていいかわからないという葛藤があるのかもしれない。言語化できない悩みを共有して受け止めてほしいと思っているかもしれない。

人に関心を向けるのって難しいんですよね。その上司自身の好き嫌いや正義感、善悪という評価を反射的に下して、すぐに意見表明をしてしまう。でも、相手の感じ方や葛藤に目を向けることができれば、本当は何を求めているかが見えてくるはずです

━━まずは具体的なテクニックの前に、相手に関心を向けることが重要だということですね。

言うが易しで、実際にやるとなるとなかなか難しいんですよね。ただ、相手の関心を寄せる姿勢は、後天的に身に付けられるものです。1on1の進め方に迷っているマネージャーの方には、まずは「自分の固定観念を持ち込んでいないか」「その相手に向き合っているか」「悩みを理解しているか」と自問自答することから始めてみてほしいですね。

「やりづらさ」の原因は、自分に関心が向いているから

━━TeamUpでは、実際に1on1を導入した組織のマネージャーの方々から様々な悩みを伺うことがあるのですが、それらに対する荻原さんのお考えを聞かせていただきたいと思います。たとえば、マネージャー職の方の中には「自分より年配のメンバーとの1on1がやりづらい」という声もあります。そのような感覚も、固定観念から生まれているのでしょうか。

そうですね。年上の方との1on1が難しいというケースは確かによくありますが、相手のことよりも、「年下の上司の自分」に対して焦点が当たってしまっているんです。それが、「年齢が違うから価値観が違うだろう」という思い込みにつながっていく。年齢に限らず、やりづらさを感じるのは、そもそも自分自身への関心が強いことが要因になっているかもしれません。

━━逆に、共感しやすく、相手の悩みに感情移入しすぎてしまうといった声も伺います。そういったタイプのマネージャーは、どのようなことを気をつけるべきでしょうか?

共感力という素晴らしい性質を持っていながら、その反作用が出てしまうケースですね。相手の悩みを自分ごとのように考えて共感できることは大きな強みですが、抱えすぎて辛くなってしまうのは、その問題を自分に向けてしまうからなんです。相手の悩みに共感するうちに「ひょっとしたら自分に原因があるのかもしれない」と帰結してしまう。そういう方は、まずは悩みを自分に転移させてしまう性質に意識的になるだけでも、バランスがとれるようになってくるはずです。

本人の気づきがあってこそ、行動につながる

━━対話の土台が整ってきたら、マネージャーとして、時には耳の痛いフィードバックをしなければならない場面もあるかと思います。フィードバックの伝え方については、どのようにお考えでしょうか?

フィードバックの伝え方として気をつけたいのが、「あなたはこうだ」と断定してしまうパターンです。この言葉の中には「あなた」という人格と、その人が行動した結果や事象が混同している可能性があります。いろいろな要素を乱暴にまとめて伝えてしまうと、不要に相手の不安を煽ることにつながるので、表現としては避けてほしいですね。

━━なるほど。では、メンバーに改善を促したいときにおすすめの伝え方はありますか?

「私はあなたの言動や行動をこのように感じました」ということを伝えるのがとても大事だと思います。相手の人格そのものを評価するのではなく、行動に対する印象を伝える。その上で、「自分はこのように感じたが、どう思う?」と内省を促すのがスムーズだと思います。

━━「こうすべきだ」とアドバイスするのではなく、本人に気づきを促すんですね。

そうでないと、結局納得感が薄いままになってしまう。本人の気づきを抜きにして行動を引き起こさせようとするのは、どうしても無理があります。そもそも、マネージャーとメンバーの間に上下関係を意識しすぎることは、あまり理想的ではないと考えています。「上司側の正解を探す部下」になってしまう構造では、その人自身にとってもチームにとっても良い結果をもたらしません。良いことも悪いことも話しながら整理をして、お互いに自分が見えていない強みを引き出し合える。そんな関係性を築けることが望ましいのではないでしょうか。

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