ミドルマネジャー育成の第一歩。経営層から全社に仕掛ける1on1ミーティング導入戦略

ミドルマネジャー育成の第一歩。経営層から全社に仕掛ける1on1ミーティング導入戦略

課題

  • 組織拡大や新卒採用の開始に伴い、ミドルマネジャー育成の必要性を感じていた

TeamUpを選んだ理由

  • 使い方がわかりやすかったから
  • テキストで1on1ミーティングのログを残す仕組みが組織の文化にフィットしていたから

効果

  • 現場のメンバーの不満や悩みに経営層がすぐ気づけるようになった
  • ミドルマネジャー層のマネジメント力強化のトレーニングになっている

新卒採用の開始に伴い、ミドルマネジャー育成が課題に

━━まず簡単に、組織の中での河田様の役割を教えていただけますか?

私たちの組織は社員全体で50名弱。代表が2名いまして、営業サイドを立見という者が、その他の部分を私がマネジメントしています。攻めと守りで言えば、守り側全般を見ているのが私の立ち位置です。さらに全体統括として取締役会長の渡邊が加わったトップ3名体制で運営しています。

━━組織の守りの面を見ていく中で、どのような課題を感じて1on1ミーティングを導入されたのでしょうか?

ここ数年、組織の規模が拡大していくにつれて、渡邊や立見や私が直接現場の末端まで見ていくことに限界を感じたタイミングがありました。組織構造に階層を持たせ、トップと現場の間をつなぐミドルマネジャーを育てていく必要性を感じたのです。会社としても3年前にようやく黒字になり、前向きな投資をしていこうという方針になってきました。そこで一番大きく動き出したのが人事的な施策。2019年の4月から新卒採用を始めることになったため、受け入れ準備をしたり、現状の制度を見直したりと話し合いの機会が増えたんです。その中で、ミドルマネジャーをどう育てていくのかという課題が挙がってきました。少人数のうちは属人的にトップの人間が号令をかけて現場が動くような状況でしたが、いつまでもそんな状態ではミドルマネジャーが育っていきません。また、どうしても組織構造的にトップの発言力が強すぎるため、現場のメンバーもトップの顔色を伺いながら仕事をしているようにも感じていました。

━━ミドルマネジャー育成施策の1つとして1on1ミーティングを始めようという背景があったのですね。これまでにミドルマネジャー育成目的で取り組まれたことは何かありますか?

ミドルマネジャーになりうる人たちを個別に呼びかけて話す機会は設けていましたね。マネジメントする意識をつけてもらいたいという想いがあったので、それこそ飲みに行ったりしながら、トップが持っているノウハウを少しずつ伝えていきたいなと。ただ、彼らは話に納得してくれるものの、実践ベースで身につける機会がないようだということもわかってきました。彼らも日々の業務に追われているので、これは組織全体で施策として取り組まなければなかなか前進しないと思い、1on1ミーティングを本格的に導入しました。新卒採用の準備を進める中で、組織のさまざまな課題が表面化していく。その時期に重なったこともあり、一気に推進しやすいタイミングでしたね。

代表取締役 河田竜弥様

1on1ミーティング自体が重荷になっては本末転倒

━━TeamUpの導入を決めていただいた際、どのような部分にメリットを感じていただけたのでしょうか?

単純に、使い方がわかりやすいのがよかったです。まず私が実際に無料トライアルを触らせていただき、いくつか気づいたことをメンバーにも展開していきました。そして現場のメンバーにも使ってもらったところ、皆わりと素直に思ったことを書いてくれたんですよ。特に抵抗感もなさそうだったので、「これは有効に使えそうだな」と可能性を感じましたね。

━━まず河田様が率先して使い始めたのですね。現場任せではなく、まずご自身が見本になろうと行動されたのはなぜですか?

もちろん、今後運用していくにあたって、現場ごとの管理は徐々にミドルマネジャーに任せていくという前提はあります。しかし、最初から分業してしまうと、部署によって活用度にばらつきが出るといった問題も生じてくると思うんですよね。そうなると入り口としてあまり望ましくない。どんなプロジェクトでも、トップダウンで始めてみて、そこから現場のメンバーに意味合いを理解してもらうのが一番スピーディですからね。今回は特に、組織全体で始めることに意味があると思っていたので、一体感を高めたかったんです。なので、まずは私1人がリーダーとなって全体に「こういうものだよ」というイメージを見せるのがスムーズだと判断しました。ただ、実際にやってみたことで見えてきた部分もありましたね。約20人のメンバーとの1on1ミーティングを2週間で実施してみて、1人のマネージャーが見ていくには人数的にそれくらいが限界かなとわかりました。

━━2週間実験的に運用してみた中での気づきがその後の実運用にも生かされているのではないでしょうか。何か工夫されているポイントはありますか?

いくつかルールを作りました。1on1ミーティングをやること自体が1つの重いタスクになってしまうと浸透していかないので、あまり過剰に工数をかけすぎないような進め方を大事にしました。基本的にメンター側には「1人のメンバーに対して1時間を確保してください」と伝えていて、その中の時間配分も指定しているんです。1時間の中で1on1ミーティングとして対話する時間は30分間。そのあとメンターからのフィードバックを1on1ログに記入する時間が15分くらい。最後に、次の仕事に切り替えるための時間を10〜15分。ここまでを1セッションとして設定しています。あとは、「連続では2件まで」というルールにしています。実際に試してみたんですが、やはり3〜4セッション続くと集中が切れてくるんですよね。

━━時間配分をかなり綿密に決められているのですね。次の仕事への切り替えの時間が確保されていることで、気持ち的にも通常業務と両立しやすくなりますよね。

私は今の時間設定がベストだと考えているのですが、皆にとってはなかなか難しいみたいです。何度か試してみて、現場のレベル感に合わせながら考えていきたいですね。内容の質と時間のバランスをとるのは簡単ではないかもしれませんが、手段が目的になってしまうのが一番まずいんです。やはり1on1ミーティングをやること自体が目的になってしまうと本末転倒なので、「これは一人ひとりが成長するための手段ですよ」ということは何度でも伝えるよう心がけています

━━他に工夫されていることはありますか?

月に1回、メンターを担当しているマネジャー陣を集めて「どうだった?」と振り返りをする場を設けています。その中ではやはり「もう少し時間を取りたい」という声もありました。まだ運用開始してから3ヶ月程度なので様子を見ていきたいと思いますが、「限られた時間枠の中で上手く運用していくこともマネジャーのスキルだよ」ということは伝えています。全体を1時間で収めるためには事前準備の大切さも理解してもらう必要があるので、いくつか具体的なアドバイスをしています。たとえば、メンバーから事前チェックが提出されたときに内容が薄いようであれば書き直してもらうようにフォローすること。また、提出された事前チェックの内容に対して、30分の中でどのように話していくかというイメージを組み立ててから1on1ミーティングに臨むこと。まだ苦戦している人たちもいるので、個別でフォローアップが必要な部分もあります。しかし、1on1ミーティングを効率的に回すことがマネジメント力のアップにもつながってくると考えているので、続けていきたいですね。

トップからアルバイトスタッフまで。成長支援の文化を浸透させていく

━━事前にFIS様の使用データを拝見しましたが、メンバーの皆様が提出された事前チェックの内容がどれも細かく充実しているところが印象的でした。その点については、何か工夫されているのですか?

いえ、そこについては数年かけて築いた弊社のカルチャーなのかもしれません。真面目なメンバーが多いので、それぞれがしっかり考えて書いてくれていると思います。ただし、こちらもメンター側と同様、業務に支障が出るほど時間をかけるべきものではないので、目安として15分程度で書くようにと伝えています。その範囲内で考えて一定のボリューム感を書いてくれている人は多いですね。

━━事前チェックの時点でメンバーが積極的に自己開示してくれると、メンター側としても1on1ミーティングをスムーズに進めやすいですよね。他には、1on1ミーティング実施後のコメントのやりとりも活発な印象でした。

コメント機能を使ったリアクションについては、特にトップの3人は意識的にやっています。ポジティブなリアクションをしていこう、意見はできるだけ拾っていこう、という話をよくしているんですよ。メンバーは普段から遠慮している部分もあると思うので、トップだからこそ突っ込んで言えるところにはこちらから意識して入っていますね。1on1ログの中で見えてくる課題や不安はなるべく早くピックアップした方がメンバーにとっても良いと思うので。特に遠隔で働いているメンバーは日々のコミュニケーションが弱く不安な部分もあると思うので、そこをカバーしていきたいという想いもあります。九州の拠点で働いている内勤のメンバーが「九州は空気清浄機がなくて困る」という内容を書いているのを見かけたので、「本社に余りがあったからすぐ送る」と言って実際に送ったこともありました。「皆の行動や振り返りをちゃんと見ているよ」と示す意味でも、コメントのやりとりにはポジティブな効果があると思います

━━良い意味で非常に戦略的に1on1ミーティングを運用していらっしゃいますよね。FIS様の取り組みには、特に50〜60名規模の組織が今後1on1ミーティングを始める上で参考になりそうなポイントが詰まっていますね。

もちろん、ルールで縛らなくても現場で上手く回っていくことが理想形だとは思いますが、実際は業務との兼ね合いもなかなか大変ですからね。やはりトップがコントロールするのが現実的だと思います。現時点では事前チェック提出のリマインドなども私がマネジャーやメンバーに伝えて意識づけをしています。

━━1on1ミーティングを2〜3ヶ月運用してみて、経営層の立場としてはどのようなメリットを感じましたか?

ちょっとしたモヤモヤなど、ネガティブな部分も含めた現場の本音が見え隠れしてきましたね。それをマネジャーが拾って解決していくのか、もう少し深掘りするのか、いろいろな対応があるとは思いますが、まずは普通に業務をこなしているだけでは気づけない部分が表面化してきたのは良いことだなと感じます

━━逆に、2〜3ヶ月間1on1ミーティングを運用してみて感じた課題はありますか?先ほどお話しいただいた時間の使い方や「負荷をかけすぎない」という話もありましたが、それ以外に何かありますか?

もう少しブラッシュアップしていきたい部分はいくつかありますね。たとえば、テンプレートの設問をもう少し細かい内容にしていきたいです。設問が具体的であれば、メンバーもよりスムーズに事前チェックを記入できるようになると思うんですよね。その部分は効果測定をしながら試行錯誤していきたいですね。数種類のテンプレートを用意しておいて、どのテンプレートだとメンバーの事前チェックの記入時間が早くなるか、といったデータを集めることができれば、運用面をもっと最適化していけるんじゃないかなと思っています。

━━ミドルマネジメント層を育成しながら、今後どのような組織をつくっていきたいですか?

現在は「トップ」「ミドルマネジャー」「現場の社員」という3階層をスコープに施策を打っていますが、今後は現場をサポートしてくれるアルバイトスタッフも増えていくと思っています。いずれは現場の社員がアルバイトの方々のメンターとなり、成長を支援するために1on1ミーティングを実施する。さらに、それを受けたアルバイトの方々もフィードバックをポジティブに受け取ることができる。そんな文化を現場の末端まで浸透させて組織全体としての能力を底上げしていけたらいいなと思います

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