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1on1ミーティングを活用した、大学研究室の新しい組織づくり

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慶應義塾大学工学部情報工学科
専任講師 杉浦裕太様

課題
  • 大学研究室のマネジメントノウハウが世の中に少なかった
  • グループミーティングでは研究内容についての深い議論ができなかった
TeamUpを選んだ理由
  • 1on1ミーティングを中心とした研究室の組織づくりをするにあたり、TeamUpは有効なツールであると感じたため
効果
  • 1対1で話すことで、研究内容についてしっかり議論できるようになっただけでなく、パーソナリティの理解や生活面、進路についての相談もできるようになった
  • 事前チェックシートを入力してもらうことでミーティングの準備ができるため、効果的な議論ができるようになった
  • ミーティングに時間をかけた分だけ生産性や創造性が上がり、研究成果につながった

研究内容について深い議論をするなら1on1がベスト

──研究室での1on1ミーティングを導入された目的、導入によって解決したかった課題について教えてください。

杉浦氏:2018年4月に研究室を立ち上げて以来、研究室をどのようにマネジメントしていくかで悩んでいました。マネジメントを勉強するために書籍などを探したのですが、会社のマネジメントに関する書籍はたくさんあるものの、研究室のような組織に適用できるものを見つけることができませんでした。大学の研究室は学生が研究をしてその成果を世の中に出すためのプロセスが教育として行われる場であり、お給料をもらって働く一般的な会社とは異なる組織のため、ビジネス書籍に書かれているノウハウをそのまま研究室に当てはめてもなかなかうまくいきません。また、これまで私が過去に所属していた組織のスタイルは、とても参考にはなるものの、そのままそれを踏襲することは、時代や学生の変化もあったり、私の好みもあって、あまりうまくいかないこともあるだろうと考えていました。

なかでも特に悩んでいたのは、研究室のミーティングでした。研究室では、お互いの研究の進捗などを共有して議論するために定期的にミーティングを行います。当初はそのミーティングをグループで行っていたのですが、グループでのミーティングの場合、どうしてもお互いの時間を気にしてしまうため深い議論にならないという傾向があります。そこでグループの人数を減らして試したりもしたのですが、やはり人数が複数である限りしっかり議論するのは難しく、グループでのミーティングに限界を感じていました。また同時に、研究室の運営や学生の教育をするためには学生1人1人のパーソナリティを把握することが非常に重要なのですが、複数人で議論していると個人的な話はなかなかできず、パーソナリティの理解が難しいという課題もありました。ちょうどそのような悩みを抱えているときにTeamUpを知り、すぐに導入を決めました。

事前チェックシートを活用したミーティングで生産性が格段に向上

──1on1ミーティングはどの程度の頻度で、どのように実施されていますか?

杉浦氏:ミーティングは月に1回の頻度で行っており、導入以来これまでの間に1人あたり3回から4回行いました。1回のミーティングにかける時間は1人あたり30分前後で、研究内容に関する議論を中心に行っています。前回のミーティングでの課題がどのようなことだったか、今回はどのようなことに取り組んだか、次はどのようなことに取り組みたいかといったことを学生に事前チェックシートに入力しておいてもらい、それにしたがって議論しています。

──これまで深い議論ができなかったという課題は、1on1ミーティングによって解決しましたか?

杉浦氏:1on1ミーティングを取り入れてからは、他の人の時間を気にする必要がないため1対1でじっくり議論することができています。また、学生が事前チェックシートを入力してくれているので、ミーティングの前にその内容を把握し、問題の解決のなにかタネとなるようなものを用意してから臨むことができるようになりました。

研究では一緒に議論しながら問題を解決していくことが大切なのですが、事前チェックシートを活用することでとても良い議論ができています。また同時に、生活面や進路などの悩みについても事前チェックシートに入力されているので、研究以外のことに関しても支援できるようになりました。

事前チェックシートをきちんと準備し、ミーティングにしっかり時間をかけることによって生産性や創造性は上がり、さらに効率にも寄与しています。時間をかけた分だけ、学生の成長や、研究成果につながっているというのを実感しています。

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──TeamUpに関して、学生の皆さんの反応はどうですか?

杉浦氏:情報工学科の学生はもともとリテラシーもあるためTeamUpをしっかり使いこなせており、研究室に自然に溶け込んでいます。また、特に生活面に関することなどFace to Faceで直接言いづらいような内容も、システムへの入力であればハードルが下がるため、よく活用されています。書くこと、入力することによって自分の頭の中も整理されるというメリットもあるように思います。

──1on1ミーティングの際に心がけているポイントはありますか?

杉浦氏:ミーティングの際には、なるべくパソコンを開かずに学生の顔を見ながら話すようにしています。パソコンを開いてログを書きながら話すのではなく、ミーティングにしっかり集中するよう心がけています。

──導入してから軌道にのるまでで苦労したことはありますか?

杉浦氏:最初は日程調整が大変でした。私の研究室の場合、一般的な会社のように出社時刻・退社時刻が決まっているわけではないため、学生がいつ研究室に来るのかわからず、スケジュールを組むのが難しかったです。そのため私のスケジュールを学生に公開し、学生が事前チェックシートを出す際に候補日を一緒に書いてもらうようにしています。

また、ログの作成については今でも苦労しています。ミーティング中に入力しないようにしているため終了後にログを作成するのですが、まとめて入力する場合は正確に記憶しておく必要があります。ログに関しては、私が一方的に書くだけではなく、学生と共同で書くというのもアイデアとしては良いかなと思っています。

今後は360度フィードバックも活用し、学生1人1人の自立を目指す

──これからさらに組織のパフォーマンスを上げるために、新しく見つかった課題や改善したい点はありますか。

杉浦氏:研究室という組織は、ブラックボックスになりやすいという体質を持っています。外部からは中でどのようなことが行われているのかが分かりづらく、閉鎖的になり教員のワンマン体制になってしまうことも少なくありません。そうならないようにするためには、教員の指導方法や環境の改善要望などを学生からフィードバックしてもらうことが重要だと考えています。大学の授業では、授業アンケートという形で学生から教員に対してフィードバックできるようになっていますが、研究室にはそのような仕組みは少ないです。今後は、TeamUpの360度フィードバックを使って教員へのフィードバックの仕組みを確立していきたいと考えています。

──将来的に学生の皆さんにどうなってほしいか、研究室の組織マネジメントをどうしていきたいかという目標があれば教えてください。

私は、学生1人1人の自立を目指しています。自立とは、自分で目標を立てて取り組み、改善し、自分の価値観や客観的データに基づいて判断して結果をアウトプットすること。教員は、ただ一方的に指示を出すのではなく、きっかけを提供したり、一緒に考え手を動かしたり、軌道を修正したり、時には他の専門家とつなぐといった立場を柔軟に動き回るのが良いと思っています。TeamUpはそのためにも有効なツールであり、自分から事前チェックシートを提出するという1on1ミーティングの仕組みを活用していくことで、自立を支援できると考えています。

大学研究室のマネジメントノウハウはまだ世の中にあまり共有されていないため、今後は私自身が色々なところに情報発信をして、ノウハウを共有していきたいと思っています。そして、1on1ミーティングが研究室の組織マネジメントの一つの方法論となれば嬉しいですね。


杉浦様の研究室の詳細はこちらから

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