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リクルートの1on1ミーティング文化「よもやま」を最大限に活かすには

・ 2020/03/12 更新 ・ 國井 麻美子

株式会社リクルートライフスタイル
ネットビジネス本部
プロダクトディベロップメントユニット
飲食プロダクト開発グループ

グループマネージャー 大森崇弘様

課題
  • 一人ひとりに適切な成長機会を提供したいが、マネージャー同士でメンバーの状態や挑戦したがっていることを共有したり記録したりするための仕組みがなかった
TeamUpを選んだ理由
  • 人事評価を目的とした設計ではなく、現場のためのツールである点がニーズとマッチしていたから
  • 実際に使ってみたところ、直感的に操作できたから
効果
  • メンバー一人ひとりの悩みやキャリアビジョンが1on1ログによって可視化された

リクルートで定着している「よもやま」カルチャー

━━大森様はどのような立場でマネジメントしていらっしゃるのでしょうか?

会社の中で大きくネットビジネス本部と営業本部とに分かれているのですが、私はネットビジネス本部の方の開発ユニットに所属しています。さらにその中で飲食の開発グループのグループマネージャー(以下「GM」)を担当しています。

 

━━リクルート様では1対1でリーダーやメンバーがテーマを決めずに雑談をすることを「よもやま」と呼ばれていると伺いました。大森様が入社されたときからすでに「よもやま」の文化はあったのですか?

私が入社した当時から「よもやま」は当たり前のように実施されていましたね。ただ、実施頻度は人によってまちまちでした。マメな人がメンターだと週次ペースで声をかけられることもありますし、仕事を観察して、見守るタイプの人とは月1回程度のペースで実施していました。

 

 

━━マネジメント層から強制されて実施するというよりは、現場に一任されているようなスタンスだったのですか?

そうですね。「何でも話したいことがあれば時間をとりますよ」といったカジュアルな位置付けだと思います。

 

━━「よもやま」ではどのような話をされることが多いのですか?

基本的にはプライベートから業務のことまで何でも話して良い場となっています。メンバー側のコンディションや仕事内容に合わせて話す内容は変わっていきます。直近の業務の進め方についての相談から、中長期的なキャリアの話まで、さまざまです。私がメンバーとして経験してきた範囲では、「よもやま」が事務的な進捗確認の場として使われた記憶はほぼないですね。「全然進んでいないじゃないか!」と詰められるような展開にはならないです(笑)。

「あなたは誰を育てられるか?」とリーダー自身に問いかける

━━大森様もマネージャーのポジションに就かれるまでは、どちらかというと相談を持ちかけるメンバー側の立場で「よもやま」を経験されてきたのですよね。しばらく「よもやま」を繰り返してきて、どのようなメリットを感じましたか?

この会社の文化として「自分はどうしたいのか?」ということをよく問われるんですよね。ただ、もちろん会社としてのミッションもありますから、単純に個人ができること・やりたいことを追求するだけではなく、組織の一員としてやるべきことを考えなければならない場面も多々あります。それらの3つをマッチさせていく方法を一人で考えるのはなかなか大変なこと。気軽に話しながら必要なアクションを整理できるという点でも、「よもやま」はとても良い時間になっていたと思いますね。

 

━━逆に現在はマネージャーという立場で「よもやま」を実施されることが多いかと思いますが、対話の質を担保するために意識されていることはありますか?

私自身は直下のリーダーを中心に「よもやま」をやっているのですが、現場のメンバーのことは彼らに委譲している部分が多いんです。私はそれを後ろからフォローするようなスタンスをとっていますね。また、私やリーダーを飛び越えて、私の上司に当たるユニット長が現場のメンバーと「よもやま」を行うこともあります。ユニット長と私は話す機会が多いので、そこで組織やチームとしての温度感を共有しています。複数階層を飛び越えたり、横や斜めの関係で話したりと、ペアは固定しすぎず、多面的に行うようにすることで質を担保しています

 

━━「よもやま」で難しいと思うのはどのようなことですか?

どんな職種でも、距離の近いリーダーとメンバーの関係って、すれ違いが起きやすいんですよね。特にリーダー側の観点でお話しすると、メンバーに対して「自分ならこうするのに」と苛立ってしまう状況はよく起こりうるのではないかと思います。そこでフォローをしていくのが私の役目なんです。私から現場のメンバーに直接フィードバックをするのではなく、リーダーとの「よもやま」の場で「どう導いてあげられるだろうか?」と一緒に考えたり、「あなたが言っていることは正しいから、今度はこういう伝え方をしてみたら?」と提案してみたりするよう心がけています。

 

 

━━大森様がGMとしてリーダーやメンバーに対して、「よもやま」を通して伝えたいことはありますか?

まずは「よもやま」はお互いにとっての成長機会であるということを理解してもらえたら嬉しいですね。マネージャーとして育成のペアを組む際には、あえて似た者同士よりも正反対のタイプを選ぶケースもあります。違う強みや弱みを持った者同士の方が、お互いにより大きな学びを得られることもあるので。

 

━━ただ単純にリーダーへ委譲するだけではなく、必要に応じてフォローしたり、ある程度戦略的なアンバランスさを組み込んだりといった考慮をされているのですね。

「あの人の言っていることがわからなくてモヤモヤする」とか、「どうしてあげたらいいかわからない」という風に、相手のことで迷ったり悩んだりする期間があってもいいんです。最終的に「この人から学べることがあるんだ」という風に切り替えられるかどうかが重要だと思っています。

 

━━経験値の高い方から与えるだけでなく、お互いに学べるところがあると。良い意味でフラットなマインドを大切にされているのですね。

そもそもリーダーにメンバーを任せるときに、リーダー自身に宣言をしてもらうんですよ。最終的にはチーム全体のバランスを見て調整することもありますが、まずはリーダーに対して、「どのメンバーをどんな風に育てたらいいと思いますか?」「あなたは誰の力を引き出すことができますか?」ということを直接聞いてしまいますね。リクルートには、役職にかかわらず個人の意思を尊重してもらえる文化がありますが、それはもちろん「やりたい」と言ったことに対して責任を取れるということが大前提になっています。だからこそ、自分でやると宣言したことはきちんとやってくれるはずだと信じて任せられるんです。

 

━━リーダーの方々が積極的に手を挙げられるのも、GMの方の心強い後方支援があるからこそかもしれませんね。1人のリーダーは、平均して何名くらいのメンバーを見ているのですか?

リクルートライフスタイルには技術面で事業を牽引したり、エンジニアを育成したりする役目をもつ「テックリード」と呼ばれる職種があります。私のグループだと、テックリードは4人。テックリード1人につき2〜3人のメンバーを任せています。ただし、やや手厚いフォローが必要だと判断したメンバーや入ったばかりの若いメンバーについては私が直接話すようにしています。

 

━━テックリードの方とメンバーの方の「よもやま」の進め方は人それぞれですか?

人それぞれですね。頻度も任せています。「よもやま」はあくまで成長支援の手段でしかないと思っているので、こちらからは特に「1ヶ月のうち最低1回は実施してください」といったルールも提示しないようにしています。それに、リーダー自身が「この子はもっとケアした方がいいかな」などと自分で感じ取ってくれることもまた、良い学びだと考えています。

 

━━大森様は普段、どれくらいの頻度で「よもやま」を実施されているのですか?

状況や時期にもよりますが、テックリードとの「よもやま」は週に1回程度です。業務のことも話しますが、今後マネージャーになりたいのか、より技術を極めたいのか、あるいは転職を視野に入れているのか、といったキャリアのことについても話しますね。難しい問題ばかりなので、「俺も悩むなぁ……」と思いながら、一緒に悩んだり考えたりしています(笑)。上司、部下というポジションは組織構造上の話でしかなく、テックリードは確実に私よりもできることがある人たちなので、話しているとやはりいろいろな学びがあります。他のメンバーとの1on1の頻度は、隔週から月1回程度ですね。グループ全体でメンバーの入れ替わりが多い時期などは、柔軟に頻度を増やしていました。

目的は人事評価ではなく、一人ひとりに適切な成長機会を提供すること

━━「よもやま」がすでに文化として浸透している中で、なぜ1on1ツールを導入しようと思われたのですか?

口頭ベースのコミュニケーションではできないことがあるのではないかと感じたからです。私の上司であるユニット長とは「現場のメンバー一人ひとりに適切な成長機会を提供していきたいよね」という話をよくしており、「よもやま」はそのために個々の悩みやキャリアへの想いを拾い上げる機会でもありました。なので、マネージャー同士でメンバーの状況を共有する習慣自体はもともとあったのですが、基本的に口頭でのやりとりのみ。テキスト形式で共有したり残したりするための仕組みがなかったんですよね。そこで、ツールを導入してみようかという流れになりました。

 

━━いくつかのツールとの比較検討をしていただいた上で、最終的にTeamUpを選んだポイントを教えていただけますか?

ツールの選択肢を絞っていく軸としてまず大事にしたかったのは、「評価に紐づけるためのものではない」ということ。「よもやま」が強制の仕事になってしまうと現場の負担になってしまいますし、メンバーに成長機会を与えたいという本来の目的から逸れてしまう気がしたんです。TeamUpは現場のメンバーの成長支援を第一に考えたツールだと感じました。1on1の前にメンバーにトピックを書いてきてもらう機能に関しては、少し面倒に感じるメンバーもいるのではないかと心配していたのですが、思いの外、皆しっかり書き込んできてくれたんです。ツールを使ってみたことで、「これまでは本音を十分に引き出せていなかったんだな」、「書く方が自分の想いや考えを表現しやすい人もいるんだな」といった発見がありましたね

 

━━導入当初の課題は「1on1の内容をテキストとして共有したい」というところだったと思うのですが、その点についてはTeamUpを導入してみてどうでしたか?

個別にご相談もさせていただきましたが、組織設定と権限制御の紐付けについては、もう少し細かく設定できたらいいなとは思いました。もちろん、1対1の場で対話できることに意味があるので、基本的には話した内容は他の人たちには公開しないもの。一方で、その人の成長機会につなげるために、一定のレイヤー以上の人には共有しておくべきだと思う情報もあります。そのさじ加減が難しいところでしたが、使い方を工夫すれば問題なく運用できました。

 

━━最低限の目的は達成できているけれど、権限周りの扱いに関しては独自に工夫されていると。

カスタマイズ性を機能上で無限に叶え続けるとオーバースペックなシステムにはなりますよね(笑)。TeamUpはそのバランス感があると感じました。使い方さえ工夫すれば解決できるという余地があったので。いろんな機能が盛り込まれすぎると逆に使いこなすのが難しくなりますが、TeamUpはマニュアルを読まなくても直感的に「このボタンを押せばいいのか」というのがわかりました

 

━━ツールを用いた運用を始めてみて、変化を感じられた点はありますか?

メンバーそれぞれが日常業務の中で思っていることや関心をもっていることが、1on1ログという形で目に見えるようになってきました。しかし、マネージャー目線では、まだまだ活用する余地がありそうだと考えています。

 

━━1on1ログによって可視化されてきた情報については、今後、どのような場面で活かせそうですか?

基本的には大ごとになるまで放置せず、課題が小さいうちに拾い上げて素早く改善していくサイクルが回っている状態が理想だと思っています。やはり、そのためにあるのが「よもやま」ですからね。せっかくこんなに良い文化が浸透しているので、今後はさらに活用方法を模索しながら、リーダーやメンバー一人ひとりの力を伸ばしていきたいですね。

 

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