他部門の社員との対話が事業シナジーを生む ──新しい形の1on1ミーティング

他部門の社員との対話が事業シナジーを生む ──新しい形の1on1ミーティング

2019年度から全社的に1on1を展開しているTIS株式会社様では、上司と部下で行う基本形の1on1に加え、他チームや異なる部署の社員同士で対話をするクロス1on1を導入する組織もあります。部門という枠を超えて意見交換や意思疎通をするこの取り組みは、部門間連携や新規事業の検討などの新たな可能性を生み出しています。

TIS株式会社様のこの取り組みについて、実際に1on1を行った田村様と太田様のお2人に話を伺いました。

所属の異なる社員同士で行う画期的な1on1

━━まずはお二人の関係と、1on1を行うことになった経緯を教えてください。

田村:太田と私はお互いに関連部署に所属しており、以前から時々ビジネスの話をする間柄でした。クロス1on1の組み合わせは部門から指定され、そのペアで半年間1on1を行います。太田と私が組んだのは1年前で、太田が部下、私が上司という立場でアサインされました。

━━━1on1ではどのような話をされるのでしょうか。上司と部下の組み合わせより難しい面もあるのではないかと思うのですが、いかがですか?

太田:話す内容はさまざまです。上司と部下との1on1のように仕事の悩み相談のような話をすることもありますし、ビジネスの話をすることもあります。田村とは、以前から話していた部門間連携についての意見交換をしていました。

田村:私たちは隔週でしっかり時間をとって話していましたが、ペアによっては活発に行われないこともあります。クロス1on1のセッティングは部下側から行う部門ルールになっているため、「本当に予定を入れて大丈夫かな?」「忙しいかな?」と遠慮してしまってなかなかスタートできないこともあるかもしれません。

DXビジネスユニットDX営業企画ユニット
DXR&D部 シニアエキスパート 田村友克様

太田:そうですね。部下側から予定を入れるのは難しいと思うので、私は連絡がなければ自分から声をかけるようにしています。

部門の枠を超えた1on1は、シナジーをもたらす

━━━お二人は、このような1on1にメリットを感じていますか?また、実際にどのような成果につながったかを教えてください。

太田:会社組織が大きくなると、それぞれの部門が独立してしまい部門間のコミュニケーションが希薄になりがちです。しかし、会社の強みを活かすためには部門間の連携が必要ですよね。1on1はそういった話をする絶好の機会になっていて、特に他部門の部長や事業のキーマンとペアになると、お互いの部門での取り組みや予算などの話をしながらビジネスをどんどん進めていくことができます。ビジネスアイデアを持っていても他部門とそれについて対話をする機会はなかなかないので、1on1は一つの良いきっかけになっていると感じています。

田村:太田との1on1では、ある事業についての話が「お互いの部門の良い点を取り入れ弱点を補完し合うことでこういう展開ができる」という具体的なところまで進みました。最終的に会社として実現する段階まではいきませんでしたが、実行フェーズに移る前のビッグピクチャーは描けたので一定の成果は出ていると思っています。

太田:新規事業を立ち上げる際には、当社の強みをどう活かすか、マーケットの中でどの程度のシェアを取りに行くかといったことを十分に検討する必要がありますが、田村と話をしたことでそれをしっかり落とし込んで話すことができました。田村との1on1は終わってしまいましたが、この件はこれからも引き続き話し合って進めていきたいですね。

ビジネスも1on1も、成功の要因は日頃の意識の高さにある

━━━お二人の1on1のような成果を上げるには、何が必要だと思われますか?

田村:1on1から何かを得られている人、事業シナジーを生み出せている人は、常に「自分の時間をどのようにビジネスに結びつけるか」という高い意識を持っているように思います。たとえば知らない上職と1on1のペアになった時に、嫌だと思いながら仕方なく臨むか、「いい機会だから話してみよう」「この人と話したら何か学べるかもしれない」と考えるか。そのマインドの違いで結果は大きく変わりますよね。

また、私が重要だと思っているのは、自分が日頃から仕事にしっかり取り組み、その姿勢を評価してもらえているかどうかという点です。当社は仕事の結果だけでなくプロセスを大事にして評価してくれる会社なので、継続的に自分の活動を発信してまわりとの信頼関係を築き、自分の思いを聞いてもらえる土台を作っていくことが、成果につながる要素の一つになっているのではないでしょうか。

太田:そうですね。そして、そういう高いマインドを持つ人材を育てていくこともまた、私たちの役目だと思っています。会社を発展させるためには高いマインドを持った「ビジネスパーソン」を増やしていくことが重要なので、1on1で出会った社員も含め、自分が関わった人をそういう人材に育てていかなければならないと考えています。

田村:そのためには、具体的に何をしたら良いでしょうか?

太田:まず私は、部下に手取り足取り教えることはせず、自分で考えてもらうようにしています。上司への営業報告も、私からではなく部下本人が行う。上司からの様々な質問にも自分の力で対応するよう促しています。お客様との打ち合わせの時はもちろんしっかりフォローしますが、内部の打ち合わせはその練習の場として、できるだけ本人が発言する練習の機会を作るようにしています。

また、部のメンバーに課題を出し、それを全体の前で発表させるという取り組みも行っています。これは、人前で発表するためには必死で考えざるを得ないので、それを繰り返すことで考える習慣をつけるのが目的です。

DXビジネスユニットDX営業企画ユニット
DX企画部 エキスパート 太田徹様

━━━普段の仕事でも1on1でも、常に部下の成長を促すように考えられているということですね。部下へのフィードバックはどのようになさっていますか?

太田:私はチームメンバー全員を自立させてそれぞれが自走できるようにしていきたいと思っているので、フィードバックはしますがこちらから正解を提示することはしていません。常に経営戦略を描きながら仕事ができるような人材になってほしいので、人から教えてもらうのではなく自分で答えを導き出す訓練を重ねられるようにしています。

━━━会社が発展していくためには、社員全員が力をつけていく必要がありますね。ただ実際には、社員全員が高い目標や強い意志を持っているわけではないというのが現状です。このことについてはどのようにお考えですか?

太田:近年「エンゲージメント」「働きがい」が意識される傾向がありますが、仕事に対する考え方は人それぞれなので、そのことを理解して認めることが大切なのではないでしょうか。

当社では、社員1人1人が自分のキャリアプランを作り、上司がそれに合わせた育成プランを立てるという取り組みをしています。1人1人が自分の1年後や5年後のありたい姿を描いてそれに向けてのステップを考えていくのですが、私がここで重視しているのは、それぞれの歩幅に合わせてプランを立てること。社員の中には、高い目標や強い意志を持つ人もいれば、そうでない人もいます。重要なのは全員に高い目標を持たせることではなく、自分がどのようになれば日々前進していると感じられるのか、どこに目標を置けば良いのかを自分の「ものさし」で考えられるようになることかなと思います。1on1を、その「ものさし」を探す場としても活用していきたいですね。

※ TIS様の1on1実施ガイドライン上、1on1 の組み合わせはマネジメントラインの部下上司を推奨。
本記事記載の上司部下以外で実施するクロス1on1は、事業部門で必要に応じ、並行施策として実施。2019年度から全社的に1on1を展開しているTIS株式会社様では、上司と部下で行う基本形の1on1に加え、他チームや異なる部署の社員同士で対話をするクロス1on1を導入する組織もあります。部門という枠を超えて意見交換や意思疎通をするこの取り組みは、部門間連携や新規事業の検討などの新たな可能性を生み出しています。

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