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社員がメリットを感じられる仕組みづくりを。全社ミッション実現を見据えた1on1ミーティング導入設計

・ 2020/11/26 更新 ・ TeamUp編集部

TIS株式会社
人事本部
人事企画部 部長 小泉 靖彦様
人事部 主査
藤原 紘子様

業界:IT/利用人数:(全社)6000名以上

2019年度から段階的に1on1を全社本格導入したTIS株式会社様。1on1施策を主導する人事本部の小泉様、藤原様(以下敬称略)に、導入の背景や現場への推進プロセスについて伺いました。

コミュニケーション課題が個人の働きがいに影響していた

━━まず、人事本部として1on1の導入を決めた背景を教えていただけますか?

藤原:人事業務を行う中で以前から様々な組織課題を感じていた中、社内アンケート調査の結果を並べて見たとき、社員の「働きがい」と相関関係のある「仕事の意義・誇り」「評価への納得度」の項目が気になりました。内容を見てみると、上司と部下とのコミュニケーション上の課題が、その他の様々な課題につながっていることがわかりました。社員がコミュニケーションの行き違いなどに消耗することなく本業に集中でき、パフォーマンスを高められる環境をつくるにはどうしたらいいのか。その問いから、マネジメント手法の一つである1on1の導入を検討し始めました。

━━TIS様のような大規模な組織で全社導入するとなると、入念な準備が必要そうですね。1on1の導入プロセスはどのように設計していったのでしょうか?

藤原:いきなり全社で開始するのではなく、まずは2017年度にわれわれ人事本部から試行導入してナレッジをためながら全社ガイドを整備し、その後一部の組織から徐々に広げていくことにしました。2018年度には関心を持ってもらえそうな事業部に人事本部から個別にお声掛けし、社内モデル組織と位置づけて導入研修を行い、1on1を開始してもらいました。1on1の社内成功事例を作ることで全社浸透に向けて徐々に風土を醸成し、全体に導入したのは、2019年度からです。

小泉:1on1はすぐに定量的な効果が出るものではないと考えています。ですから、はじめから、3〜5年かけて徐々に組織風土を改革する施策として、段階的に目標を設定しています

たとえば、1年目は「1on1が全社共通の枠組みとして認知され、実施が開始されていること」、2年目は「当たり前に定期的な対話の機会がある」状態へ。3年目になる来年度は、「相手の気づきと行動を引き出せる関係性を築く」「1on1がTIS内におけるコミュニケーションの中心であり、人材育成・動機づけ・評価等、パフォーマンスディベロップメントサイクルの基盤になっている」ことを目指します。

━━年度毎に明確な目標を設定されているのですね。では、特に導入1年目の取り組みについて、詳しく伺えますか?

小泉:1on1の全社導入については、2018年9月の経営会議で役員向けに説明する場があり、本格的に始動しました。人事本部から方針を発表した際、その場ですぐに社長が1on1の意義や重要性について強く共感してくれました。それが追い風となり、本部長クラス以上を中心に協力的な雰囲気が広がったのはとてもありがたかったですね。

藤原:とはいえ、もちろん中には戸惑いの声もありました。「時間も手間もかかって大変そうだけど、本当にやるんですか……」と驚かれましたね。

小泉:そういう反応は常にありますね。

藤原:事業部門のマネージャーとしては、業務時間との兼ね合いはどうしても気になりますよね。各組織で前向きに1on1を開始してもらえるよう、1on1にかかる時間は「教育工数」として扱うなど、制度面の整備や周知も行いました。教育工数はもともと部門ごとに確保、目標設定されているものなので。社員の成長を加速する仕組みという観点から、『1on1は部下の成長のための時間』と社内で位置づけているので、そのメッセージも伝えられたと思います。

1on1の位置付けを明確にし、施策の一貫性を示すことが大切

━━他に、現場の社員を巻き込む上で何か工夫されたことはありますか?

藤原:弊社のような大きな組織では、制度をただ導入するだけでは形骸化しやすいため、その点かなり気をつけました。社員が「やらされている」感覚にならないよう現場に深く落とし込むためには、いくつかのアプローチを同時に進める必要があります。

まず、施策の目的やゴールを明確にすること。そして、経営陣のコミットメント、社員のマインドとスキルを育てること、仕組み化した後の社内フィードバック、などです。具体的には、トップメッセージを社員に直接伝え、マネージャー層のマインドとスキルを育てるために、昨年度は全役職者、1500名以上を対象に1on1の導入研修を開催しました。その中で、「なぜ今TISに1on1が必要なのか」という背景、目的・ゴール、そして会社全体で取り組む重要な施策であることを、人事本部長や人事企画部長の小泉から直接伝える時間を設けました。今年度も1on1を実施している全役職者向けに、フォローアップ研修を展開中です。

小泉:役職者全員に向けて直接説明するのは苦労しましたが、やりきれたのは推進担当者である藤原の熱意があってこそですね。研修では、1on1で大切にしてほしい姿勢の説明やスキル面のサポート、上司間のナレッジ共有などを行っています。

藤原:研修だけでなく、現場でより運用しやすくなる仕組みも整えなければいけません。そのため、多忙な中での継続実践や、限られた時間での1on1効果の最大化を支援するツール「TeamUp」を導入したり、1on1をマネジメントにうまく活用している事業部の役員インタビューを社内報に掲載したり、といった取り組みを行いました。他にも、「皆は1on1でどんなことを話しているのか」「部下は1on1をどう感じているのか」という質問も多いので、1on1実施状況についてのアンケートを実施し、社内フィードバックを行っています。

小泉:1on1に限った話ではありませんが、会社全体で中長期的に達成すべきミッションやビジョンがあり、人事施策もこれに基づいて推進しています。全体としての方向性を示し、その実現に向けて様々な施策を打ち出しており、新しい取り組みを行うときは、全体の施策の一貫性をしっかりと社員に示すことが大切だと思います。

━━現在は1on1を全社導入して2年目ということですが、ここまでで何か変化を感じられることはありましか?

小泉:「上司と話しやすくなった」「部下からの発言が多くなった」という声を聞きます。しかし、現在はまだ基盤を整えている段階なので、定量的な効果が見えるのはこれからだと思います。

━━1on1を始めとする様々な取り組みを通して、どのような社員を育てていきたいですか?

小泉:われわれの会社では現在、グループ全体で『ムーバーとして、未来の景色に鮮やかな彩りを』というミッションを掲げています (※) 。「ムーバー」とは、新しい価値を生み出し、世の中を動かす会社や人のこと。このミッションを実現するには、上からの指示を待ったり、ただこなしたりするだけでなく、 自分で考え、自律的に新しいことに挑戦する社員を育てていかなくてはいけません。また、個々の挑戦や多様性を受入れ活かしていく風土も大切です。そのためにも、1on1を通じて、このような社員と組織風土が形成されていくことを期待しています。

藤原:社員一人ひとりが会社のミッションや方向性を理解し、なおかつ自分の仕事に意義を感じながら、誇りを持って働けるといいですよね。そのために、経営者層の思いを全社に伝える機会を増やしたり、1on1のような組織開発の仕組みをブラッシュアップしたりと、人事本部として引き続きサポートしていきたいと思います。

(※)OUR PHILOSOPHY(TISインテックグループ基本理念) https://www.tis.co.jp/company/philosophy/

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